耳をふさいで夜を走る

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管理人の読書タイ~ムは、もっぱら会社への行き帰りの電車の中なのですが、ココのところはずっと「地球の歩き方」とか「旅の会話集」とかそんなのばかり読んでいて、普通の本(?)はご無沙汰していたのですが、久しぶりに読んだ本がプチヒットだったのでその話でも。

「耳をふさいで夜を走る」 - 石持浅海

並木直俊は決意した。三人の人間を殺す。完璧な準備を整え、自らには一切の嫌疑がかからないような殺害計画で。標的は、谷田部仁美、岸田麻理江、楠木幸。いずれ劣らぬ、若き美女たちである。倫理?命の尊さ?違う、そんな問題ではない。「破滅」を避けるためには、彼女たちを殺すしかない…!!しかし、計画に気づいたと思われる奥村あかねが、それを阻止しようと動いたことによって、事態は思わぬ方向に転がりはじめる…。

人がバタバタと死ぬので「面白い」という表現はちょっと頂けないのですが、ナカナカ他には無いテイストがあります。メインのストーリー自体は序盤で読めてしまいますし、オチも予想通りです。むしろもっと複雑な関係を想像していましたが、それほどでもなく、結構、真っ当ですので、ミステリーとして読むと物足りないのかもしれません。

しかし、この話のミソはストーリー部分にあるのではなく、主人公が殺害計画にについてあれやこれやと迷いに迷うところだと思います。殺したいけど、自分は捕まりたくない。いかに効率よく、確実に、証拠を残さずに殺す事が出来るかを、その場その場で瞬時に判断して動くところが醍醐味だと思います。

そもそも彼女たちは家にいるのか、いたとしても彼氏でも一緒にいたらどうするのか、彼氏と彼女をどういう順番で殺すべきなのか、話し込んで油断させてから殺すべきか、それとも何も語らず殺すべきか、証拠はどうやって残さず回収するか、近所を歩いているところを近所の人に見られた場合に印象に残らないようにはどうすればいいか、などなど幾つものシミュレーションを行い実行します。また、「ああ、そんなトコに無造作に手袋を置いておくと・・・」とか思っても、ちゃんと帰りがけに回収して行ったりします。ミステリーなどの場合での、謎解き要素を極力排除しようという試みかと思います。

ちなみに、ネットで感想などを読んでいますと「3人もの女の子を殺そうとするほどの動機が無いのでは」というような事を書かれているのを所々で見ましたが、それはちょっと読み足らないのではないかと思いました。

確かに主人公は最初から「3人ともコロス」と思っていましたが、ナカナカ実行には移せずにいて、ひょっとするとそのままズルズルと行動に出れないままになってしまっていたのかもしれません。しかしそこである事件(?)に遭遇する事によって、「今晩中に殺さねば」という事態というか状態になってしまった、という心情の変化は、[アルラウネ]の説明辺りで解説されていますので、その理屈が正しいとするのなら、彼もまた飲みこまれたという事で論理的には説明がつくと思うからです。最終的には動機が問題では無いと。

人は誰しも心に闇を持っていてそれが表に出るか出ないかは紙一重だという事ですね。
ま、仏の慈悲を心に持つ管理人には関係の無い話ですが(←こういうヤツが一番危ない(笑)。

コメント(2)

Gさん>
 かなり前から言っておられますよねぇ、ソレ(^_^;)。
 私は最近、電車内などでの周りのアホ会話が耳に入らないように、
 入って来る音をスルーする能力を身に付けました。
 Gさんも精進して下さい( ̄ー ̄)。

こら、JR西日本!
車内アナウンスの音量がデカ過ぎて耳痛いわ、ボケ!(-_-メ)

「耳をふさいで電車に乗る」

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このページは、skoyamaが2011年10月14日 23:55に書いたブログ記事です。

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